=Column 医食同源 第12回= マッシュルーム Mushroom

 コラムに懸ける私の情熱と、連休というたっぷりな時間の恵みが、長文たらしめました。どうぞ、お許しくださいませ。きっと、皆様に楽しんでいただけるだろうと自負しております。 このコラムを、読者の皆様、我が内視鏡クリニック スタッフの皆様へ捧げます。

 

 今回のテーマは、「マッシュルーム」です。マッシュルームの起源は、古代ギリシャ・ローマ時代まで遡ります。もともと馬厩肥(バキュウヒ)などに自然発生していたものを利用していたといわれています。その後17世紀頃に、フランスで人工栽培が始まりました。欧米で広く普及していたマッシュルーム栽培が日本に伝わってきたのは、明治中期です。1964年東京オリンピックを境に、日本のマッシュルームは急速に発展を遂げます。当初は、保存のしやすさの面などから、輸入品の缶詰商品が主流でしたが、近年ではスペイン料理やイタリアンなどの飲食店の普及、スーパーマーケットでの取り扱い量の大幅な増加によりマッシュルームの需要と認知度は上昇しています。マッシュルームは世界で一番食べられているキノコです。日本での正式名称は作茸(ツクリタケ)。マッシュルームは、欧米で呼ばれる通称。本家フランスでは、シャンピニオン・ド・パリと呼ばれています。

 

 マッシュルームは低カロリー(15Kcal/100g)でありながら、ビタミンB群B2皮膚粘膜の健康維持)・ナイアシン:ビタミンB3皮膚粘膜 脳神経の健康維持)・パントテン酸糖質をエネルギーにする働き 脂肪酸の合成)〕、ビタミンDカルシウムとリンの吸収促進)、カリウム高血圧の予防や改善)、亜鉛体内の化学反応を助ける)、セレン抗酸化作用による動脈硬化の予防など)、赤血球の形成)そして食物繊維便通を良くする・βグルカンコレステロールの吸収を抑え血糖値の上昇を緩やかにする)など多くの栄養素を含みます。また、マッシュルームの特徴的な効能に、消臭効果があります。消臭のメカニズムは、シャンピニオンエキスに含まれている、アミノ酸やポリフェノール(フラボノイド)が、腸管内で発生したアンモニアや硫化水素などの硫化物を中和し、βグルカンなどの多糖類がその成分を閉じ込めることによります。

 

 今回ご紹介するお料理を、王道の「アヒージョ」にするか、「一平ライス」にするか、とても迷いました。ご存じかもしれませんが、アヒージョとは、具材をオリーブオイルとニンニクで煮込むスペインのお料理です。では、一平ライスとは? 『芸術は爆発だ!太陽の塔』 そうです、あの岡本太郎のお父様が好んで食べたお料理なんです。一平ライスの一平は、お父様のお名前です。お母さま(岡本かの子さん)の手料理です。〔話それますが、岡本かの子さんの小説好きです〕

 どちらも美味しいのですが、今回は一平ライスをご紹介することにします。まずは、マッシュルームを用意しましょう。炒めた時の香り重視で、ホワイトよりもブラウンがよろしいかと思います。OKスーパーなら240円くらいで入手できますよ。ひとパックすべてのマッシュルームを8等分くらいに切ります。ニンジンは、1/3本を薄めのいちょう切り。サヤインゲンは、8本くらいを軽く下茹でして1cmくらいに切ります(茹ですぎないで)。次にオリーブオイルをたっぷりひいて、マッシュルームとニンジンを中火で炒めます。すぐにオイルが少なくなってくるので、すかさずオリーブオイルをどんどん追加していきます。マッシュルームが香りたち、火がとおるちょっと前くらいに弱火にして、さきほどのサヤインゲンを入れ、硬めに炊いたご飯1合(今回は二人分です)を投入し、よく混ぜます。味付けはお塩のみ、お好みの塩加減で火を止めます。最後に薄く焼いた卵焼きを細く切り、マッシュルームライスにのせて完成です。召し上がれ♪ マッシュルームの美味しさは、その香り(マツタケと同じマツタケオールという成分が含まれています)と旨味(旨味成分のグアニル酸はシイタケの3倍もあります)と、歯ごたえ(やわらかすぎず硬すぎず)にあると思いますが、この一平ライスときたら、さらにニンジンの優しい甘みと、サヤインゲンの控えめな青々とした香り、新鮮なシャキシャキした食感、この三つを平和的にまとめる今や貴重なお米、そして薄焼き卵が優しいヴェールのようにすべてを包み込みます。私にとって、マッシュルームの不思議な魅力は、一口食べた後に必ずもう一口食べたくなるところかもしれません。その味をもう一度、確かめたくなるんです。一平ライスも、最後の一口を食べた後、あーぁ食べ終わってしまった、という感覚になります。そして、とてもヘルシーな食後感がありますよ。

 

 ところで、「マッシュルーム君」というあだ名でよばれていた作曲家をご存じでしょうか?私もこのコラムを契機にマッシュルームについて調べて、初めて知ったのですがフランツ・シューベルトです。小柄で頭が大きく額が広く丸く突き出ていた外見が、小さなキノコみたいだったからのようです。シューベルトは、「野ばら」や「アヴェ・マリア」など美しい歌曲をたくさん残していますよね。私は、ピアノソナタ21番と18番、交響曲第8番 未完成、ミサ曲6番などが大好きです。月影がうつる綺麗な湖に純白の真珠が転がるような旋律、数々の美しい曲には、澄み切った悲しみや、あこがれや不安、足のすくむような闇も感じます。ただ、雲間に差し込む太陽の光のような確かな希望も感じ取れます。

 

 どんな環境におかれても、決して手放してはいけないものは、「希望」だと思います。

 

 マッシュルームは、キノコですが花言葉があります。それは、「希望」です。

 

 

2025.8.11

 

今日、8月11日はマッシュルームの日です。

マッシュルームの人工栽培を日本で初めて成功させた、森本彦三郎さんの誕生日です。

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